日蓮聖人の御遺文(御書)の現代語訳で初心者向けだと思うもの(2019年3月版)
日蓮聖人の御遺文を読むには?
日蓮聖人に関心を持ち、その著作に触れてみたいと考えた時、その選択肢は無数にあります。
日本には伝統宗派・新興宗教問わず、数多くの日蓮聖人門下を名乗る団体が存在し、それぞれが独自に御遺文(御書とも呼ばれる事があります)を書籍として販売しているからです。
一般的に販売されているもので、初心者が最初に触れるのはどれがいいか、私見ですがまとめてみました。
前回の記事「入門者にオススメの法華経の現代語訳は?」と同様、私はこの分野に関して学術的に研究している人間などではないので、あくまで今まで私が少しばかり読んだものの中で良いと思った物についての紹介になります。了承ください。
御遺文の原文を読む困難さ
Wikipediaの記事によると、全文が残っている物に限定しても、日蓮聖人は生涯に400編以上の膨大な量の御遺文を残されています。
量もさることながら、その原文は漢文、または仮名交じり文(いわゆる古文)なので、まともに読むのは現代の我々にとってはかなりハードルが高いです。
現在、全ての御遺文の全集として販売されているものは、漢文のものはかろうじて仮名交じり文にはなってますが、それでも日頃古文とは縁遠い我々にとって読むのは困難です。
一応、全文を現代語訳にしたものもいくつか出版されてはいます。
代表的なところだと、春秋社の「日蓮聖人全集」ですが、ボリュームも多いので気軽に手に取れるものでもありません。
代表的なものから読んでみる
日蓮聖人の遺文の中でも最重要とされる五つの著作は伝統的に「五大部」と呼ばれており、まずはこれを読むことで、思想のもっとも重要な部分に触れる事ができます。
角川文庫から出ている「日蓮「立正安国論」「開目抄」 ビギナーズ 日本の思想」は、五大部の中でも、もっとも代表的な「立正安国論」と「開目抄」を平易な現代語で読む事ができます。
まずはこの辺りを読まれるのが良いかと思います。
他の五大部の現代語訳が読めるもので、一般向けと思われるのは、
- 『日蓮聖人『観心本尊抄』を読む』 ※仮名交じり分は全文ですが現代語訳は全文ではないです
- 『報恩抄ノート』
- 『撰時抄ノート』
これらならば、詳細な解説や用語説明も載っているのでおすすめです。
ただ、それでも各遺文の書かれた歴史的な背景や、前提となる仏教知識がないと、完全に理解するのは難しいと思います(かくいう自分もまだ全く理解できてないと思いますが)
このブログでは今後も、理解の助けになりそうな書籍を見つけ次第紹介していきたいと思います。